口腔ケアの重要性
「お口の健康は全身の健康に影響がある」といったフレーズを聞いたことがある方も、多いのではないでしょうか。生きる源である食べ物や水分は、お口を通して摂取しますので、口腔内、そして口腔機能の健康が、生きていくうえで不可欠であることは、言うまでもありません。
このページでは、そんな生きるために重要な役割を持つ「お口」を健康に保つため口腔ケアについてご説明します。口腔ケアが、皆様の健康へどのように繋がっているか、またウイルス感染に対抗する口腔ケアの重要性など、お答えしていきます。
口腔清掃は、ウイルス感染への水際対策！？
感染症予防のためには、身体を清潔にすることです。厚生労働省でも、インフルエンザ・新型コロナウイルスを防ぐためには、「まずは手洗いが大切」と示しています。（参考： 厚生労働省・新型コロナウイルスを防ぐには）
清潔な体の表面において、病原菌は感染しにくいのです。しかし、手や体、髪の毛を洗うことは心がけていても、お口の中を清潔にする注意は、忘れていませんか？
ウイルスや細菌は、さまざまな経路から私たちの口や鼻からのどへと入り込んで体の中に進入していきます。インフルエンザウイルスの場合は、お口が不衛生だと、口に入ってきたウイルスが感染しやすくなります。つまり、お口を清潔にして、健康に保つことはウイルス感染の水際対策といえるのです。ウイルス感染予防のために、お口の衛生管理を心がけてみて下さい。
特に歯周病菌は強力なタンパク分解酵素をもっており、ウイルスが粘膜細胞の中に感染することを促進します。歯周病の方については、ご自身での口腔清掃と共に、歯科医院におけるメンテナンスがとても大切です。（文献：松山州徳：プロテアーゼ依存的なコロナウイルス細胞侵入.ウイルス．61巻1号，pp.109-116，2011.）
お口の中が不衛生だと、全身の免疫力を弱めます
ウイルス感染対策では、体の免疫力を低下させないことが大切です。
- 腸内細菌のバランスは全身の免疫に密接にかかわっています。そのため、腸内細菌のバランスが崩れると、感染症にかかりやすくなったり、さまざまな全身疾患が発症しやすくなることが知られています。（文献/安藤朗編：腸内細菌と臨床医学．別冊・医学のあゆみ．医歯薬出版, 2018.）
- お口の細菌が食道・胃を通って腸内にたどり着き、腸内細菌のバランスを乱して全身疾患発症の原因となることが判ってきました。（文献：Olsen I, Yamazaki K.：Can oral bacteria affect the microbiome of the gut? J Oral Microbiol. 11(1):18, 2019）
歯ぐきが腫れて、体調を崩したことはありませんか。逆に体調が悪いときに、歯ぐきが腫れた、などの経験はありませんか。
お口が不潔な方、特に歯周病にかかっている方は、食事のたびにたくさんのお口の細菌が腸に運ばれるため、全身の免疫力が低下するリスクが高まるということになります。口腔内を清潔して、免疫力を高めていきましょう！
お口の中が不衛生だと、肺炎のリスクにも…
中高年になると、誤嚥と言って、食べ物や唾液が気道に入ってしまうことがあります。
お口が不衛生だと、この時にたくさんの細菌が気管に入って肺にまで至り、誤嚥性肺炎という肺炎を起こしてしまいます。誤嚥のリスクが高い方は、ウイルス性肺炎のリスクも当然高くなります。
口腔ケアを心がけましょう！
上記でご説明した通り、ウイルスや細菌は、さまざまな経路から私たちの口や鼻からのどへと入り込んで体の中に進入していきます。手洗い・うがいに加えて、お口のセルフケア（丁寧な歯磨き）を、ぜひ心がけてみてください。
そして、定期検診・メンテナンス（歯科医院でのクリーニング）を上手く利用して、お口の中を清潔に保ち、お口も身体も健康な毎日を過ごしましょう。
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